-
-
年々、会社や家庭からのハラスメントのせいでうつ病や対人恐怖症等精神疾患を患い、全てを投げ出してしまいたいという相談が増えてきています。
厚生労働省が設置した総合労働相談コーナーに寄せられた「職場でのいじめ・嫌がらせ」についての相談は、1年間で7万917件にのぼりました。
テレビ各局でも取り上げられる様々なハラスメント問題。
代表的なものには「ワーハラスメント(パワハラ)」「セクシャルハラスメント(セクハラ)」「モラルハラスメント(モラハラ)」などとあります。
そもそもハラスメントとはいったい何なんのでしょう。
-
ハラスメントの定義
ハラスメントとは相手に対して行われる「嫌がらせ」のことで、行う方の意識の有無に関係がないため、たとえ本人にそのつもりがない場合でも相手を傷つける行為、苦痛を与える行為、不利益を与える行為などはハラスメントに該当します。
極端な話、自分には嫌がらせのつもりは無くとも、本人が不快に感じていればそれは立派なハラスメントです。
また、「ハラスメント」は必ずしも職場だけに限定されるものではなく、以前より病院や学校を始め様々なコミュニティ内でも同様に存在します。
そして、現在では「パワーハラスメント」「アルコールハラスメント」などよく聞くものを含め30以上の「ハラスメント」が一般的に定義されています。
まずが職場で起こり得るハラスメントからご紹介します。
-
職場編
セクシャルハラスメント(セクハラ)
セクシャルハラスメントは性的いやがらせのことです。
男性、女性に関わらず行われるものがありますが、主に男性から女性に行われるものが多いです。
職場や学校における立場や上下関係を利用して、下位にある者に対する言動を強要する「対価型」と、はっきりした不利益を伴わなくても、性的な言動を繰り返すことで働く環境を悪化させる「環境型」の2つに分けられます。
飲み会の席で女性にお酌を要求したり、何気なくでも結婚や出産について聞く事も、この環境型セクハラに含まれます。
自分では何気ない言動でも、相手にとっては堪えがたい羞恥心を与えてしまったり、男性に少しでも触れられること自体強い抵抗を抱く女性も多くいます。
そして、何も言わないからといって許容されているのではない、ということを肝に銘じましょう。
セカンドハラスメント(セカハラ)
セクシャルハラスメントを受けた被害者がその事実を訴えることで、逆に会社側から圧力などの二次的被害を受けることを言います。
「被害妄想じゃないのか」「本当はあなたが誘ったんじゃないの」「それくらいは我慢しなさい」など被害に遭っているのにかばってもらうどころか更なるいやがらせを受けるハラスメントです。
せっかく勇気を出してセクハラを告発しても、このセカハラによってより追い詰められて退職を余儀なくされる事案が増えています。
パワーハラスメント(パワハラ)
職務上の地位や役職などの優位性を背景に適正な業務の範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与えることです。
パワハラは6種類に分けられます。
殴る・蹴る・目の前でものにあたるなどの身体的な攻撃
馬鹿にする・同僚の前で叱責するなぢの精神的な攻撃
会社の集まりに呼ばない・無視をするなどの人間関係からの切り離し
不必要な重労働や残業の要求・休日出勤の強要などの過大な要求
仕事を与えない・今までに経験と関係のない部署への移動などの過小な要求
飲み会への強制参加・スマホなどを勝手にみる・プライベートな話を聞き出そうとするなどの個の侵害
このどれかに該当した場合、パワハラとなります。
そのほかにも「他人のミスを押し付ける」「有給休暇の取得を認めない」「人によって態度を変える」もパワハラだと考えられています。
たった一度の発言や態度でパワハラと認定される場合もあれば、継続して行う事によって認定される場合もあります。
また、上司から部下、先輩から後輩に対して行われることが多いですが、人間関係上優位性を持った部下から上司に行われるケースもあります。
モラルハラスメント(モラハラ)
親、恋人や配偶者、教師や同僚、上司などから無視されたり、努力を正当に認めてもらえなかったりと、肉体的ではなく、言葉や態度等によって精神的に継続的ないやがらせを行うことです。
いやがらせが行われていて、それが外部からは見えない、「いやがらせの隠蔽」が行われることも特徴です。
近年家庭でのパートナーからのモラハラの相談が急増しています。
「家事や育児の否定」「見下した発言や態度をとる」「気に入らないことがあれば暴言を吐く」「離婚や養育権、経済力を武器に相手を脅す」などがあげられ、比較的長期間に渡って行われるなどが特徴です。
被害者が「自分がダメなんだ」「人としダメなんだ」と自分に問題があると思いこんでしまい、自分を精神的に追い込んでしまうことも多いのもモラハラの特徴です。
アルコールハラスメント(アルハラ)
上下関係を利用して本人の体質や体調・意向を無視して飲酒を強要するなどの飲酒にまつわるいやがせです。
罰ゲームだとはやし立て一気飲みをさせたり、意図して酔いつぶしたり、アルコールを飲めない人への配慮を欠く事もこれに該当します。
リストラハラスメント(リスハラ)
リストラ対象者に対するいやがらせのことで、パワーハラスメントの一種だと考えられます。
リストラ対象者に、仕事において無理難題を押し付けたり、急な人事異動で望まない部署や窓際部署への異動を命じたりするなどしてリストラに追い込むようなハラスメントです。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
「男らしさ」「女らしさ」を強要するいやがらせで、性的ないやがらせですが「セクシャルハラスメント」とは異なり、性別に関する偏った見方が引き起こすハラスメントです。
「男のくせにひ弱だ」「女のくせに気が利かない」「男なら重たい荷物は運べ」「女は男の言うことを聞いていればいい」などの発言がこれに当たります。
また、同性愛者への非難もこれに当たります。
エイジハラスメント(エイハラ)
本来は中高年の社員に年齢に関していやがらせを行うことを指していましたが、最近は家庭内での父親や、介護施設の利用者である高齢者に対する差別やいやがらせを含みます。
「もう年なんですから無理しないで下さい」などの言動も気を使ったつもりでも、受け手が不快に思えばエイハラに該当する可能性があります。
マタニティハラスメント(マタハラ)
職場において、妊娠している、または出産した女性に対して、妊娠、出産に伴う就業制限や育児休暇により業務上の支障をきたすという理由で精神的・肉体的いやがらせをおこなうことです。
エアーハラスメント(エアハラ)
空調に関するいやがらせのことで、例えば会社で節電を理由に猛暑日でもエアコンの使用を禁止したりして、体調を崩したりすることがエアハラに該当します。
寒がる同僚の主張を無視してクーラーを強くかけたりするなども同様です。
ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
主にTwitterやFacebookなどのSNSに職場の上下関係が持ち込まれてトラブルやストレスの原因となることです。
職場の部下に友達申請をせまったり、自分の投稿に「いいね!」を押すことをせまる、逆に部下の投稿をチェックして執拗に「いいね!」を押して監視されているようなプレッシャーを与えるなどが該当します。
終われハラスメント(就活終われハラスメント/オワハラ)
企業が学生に、内定と引き換えに「うちで採用するから他社はもう受けるな」「うち以外はあなたを採用する会社なんてない」などと、就職活動を終わるように迫ることです。
-
その他の状況
学校・友人間
アカデミックハラスメント(アカハラ)
大学や大学院などで教職員や学生間において地位や人間関係などの優位性を利用し、相手に対して精神的や肉体的な苦痛を与える行為のことです。
パワハラやセクハラなどのキャンパス版といったところ。
キャンパスハラスメント(キャンハラ)
キャンパスハラスメントとは各種ハラスメントが大学(キャンパス)で行われることです。
同期や先輩後輩間でも起こるのがアカデミックハラスメントとの違いです。
スクールセクシャルハラスメント(スクハラ)
学校で教師が児童生徒に対して行う性的いやがらせで、恋人はいるのか尋ねたり、立場を利用して根拠なく異性との交際を禁止したりするものから、完全に性的虐待とも言える内容を含みます。
フォトハラスメント(フォトハラ)
写真に関するハラスメントで、相手の許可を得ず写真を撮影することはもちろん、撮影した写真を勝手にSNSなどにアップしてしまい相手に不愉快な思いをさせてしまうことです。
例え無意識であったとしても、相手が不快に思えばハラスメントに該当します。
カラオケハラスメント(カラハラ)
職場などの立場を利用して、カラオケで歌いたくない人に無理矢理歌わせるいやがらせのことです。
カラオケで歌わない人に「お前も何か歌えよ」がカラハラに当たる可能性があります。
ブラッドタイプハラスメント(ブラハラ)
血液型が与える印象で、その人の人柄や性格を決めつけるような言動を言います。
一般的には「A型は几帳面」「B型は自己中心的」「O型は大雑把」「AB型は変わり者」などの決めつけがあります。
科学的根拠がないにも関わらず、「B型なの?どうり自己中だと思った。」などと血液型の分類による決めつけが偏見やいじめにつながるケースが多くあります。
パーソナルハラスメント(パーハラ)
個人的趣向や容姿、クセなどプライベートでパーソナルな面について関して文句をつけたりいじめたりする行為です。
「不細工」と容姿をバカにする事や、変わった性格の人を「変人」だと不当なレッテルを貼ることもこれに該当します
家族・身内間
家事ハラスメント(カジハラ)
家庭内での家事の分担等に関して発生するいやがらせで、妻の家事、育児、介護などの家庭責任が過小評価されている状態を指す場合もありますし、家事を行った夫に対する妻の過剰なダメ出しもカジハラに該当します。
マリッジハラスメント(マリハラ)
「マリッジ」は「marriage」、結婚を意味し、未婚者に対して執拗に「結婚しないの?」などと聞いたり、「そんなことだから結婚できないんだ」「まだ結婚しないの?」など結婚に関する圧力をかけたりいやがらせをすることです。
先に結婚した同年代の友人や職場の上司、親戚などから起こり得るハラスメントです。
シルバーハラスメント(シルハラ)
エイジハラスメントに近いですが、主に介護を受ける高齢者(60歳以上のシルバー世代)に対する差別やいやがらせのことです。
介護をしている身内からや、介護施設の職員が肉体的、精神的にいじめたり傷つけたりするが該当し、特に介護施設からのシルハラは、高齢化社会における重大な問題となっています。
その他
スモークハラスメント(スモハラ)
スモークハラスメントとは喫煙者が非喫煙者に行ういやがらせのことです。
煙草の煙で非喫煙者に受動喫煙をさせたり、非喫煙者に煙草を吸うことを強要したりすることがスモハラに該当します。
スメルハラスメント(スメハラ)
スメルハラスメントとは匂いによって他人を不快な気持ちにさせることです。
口臭や体臭が一般的ですが、強すぎる香水の匂いや柔軟剤の匂いもスメハラを引き起こす要因となる場合があります。
エレクトロニックハラスメント(エレハラ)
電磁波や電波といったエネルギー媒体によるいやがらせ、及び攻撃のことです。
例えば、低い低周波の音波は透過性が低く防ぐことが難しく、人間の神経に作用して痛みやけいれん、耳鳴りなどの作用を及ぼすと言われています。
ヌードルハラスメント(ヌーハラ)
食事中に麺類などをすするなどして、音を立てることです。
すする際の音がトイレの音や掃除機の音を連想しまうことから不快と感じる方外国人はもちろん、日本人でも増えてきてた影響で増えて来ているハラスメントです。
ラブハラスメント(ラブハラ)
恋愛に関する話題で相手に精神的苦痛を与えたり不快感を与えることです。
彼女いないの?」「恋人を作る努力をしなきゃ」など、恋愛や結婚に関する考え方を押し付けることでプレッシャーを与える言動がラブハラに該当します。
ゼクシャルハラスメント(ゼクハラ)
交際している男女のうち、女性が男性に対して結婚を迫ることで心理的負担を与えるいやがらせのことです。
結婚雑誌「ゼクシィ」からその名前がついており、部屋にゼクシィを置いておいたり、「責任を取ってよ」などと結婚に対する不当なプレッシャーを与える言動が該当します。
-
人間関係の中で、気付かない内に「ハラスメント」は発生しています。
自分では何とも思わないちょっとした言動でも、相手は傷つくことがあります。
普段の自分の行動が、相手に不快感を与えていないか、ハラスメントになっていないか、一度見つめなおしてみましょう。